2016年7月5日火曜日

福岡若手演劇協会主催 第1回 福岡×○○企画 「福岡×東京 俳優のためのワークショップ~講師:一色洋平~」レポート~2日目~





今回のWSも本日が最終日。2日目とは思えぬ程、参加者の仲間意識は強く、
そして1人1人の意欲も初日以上にギラギラしていた。


それぞれに準備を終え、全日の振り返りが終われば、
まずは体スイッチを入れる。
俳優の【稽古】において大変なことの1つに、
【稽古の頭から、全日までに培ったMAXを引き出す】
という作業がある。
そのため、まずは体の準備を効率よく、適格に呼び起こす必要性がある。

一色「ちょっと先にやりたいことあってさ~・・・ちょっと皆で走らない?軽く(笑)」

誰も予想していなかった、【ジョギング】からのスタート。
集団で2列になり軽くジョギングをすることで、参加者の心と体の準備が少しづつ行われ、
かつ、高い意欲だからこその、妙な緊張感と興奮を自然とほぐしていく。
更にそこから

一色「よし、逆立ちしよう!」



参加者の何人が、この1年で「倒立(逆立ち)」をしただろう。
しかしここで、さすが一色氏の身体の知識が加わる。


溜まった疲労や老廃物を強制的に心臓で循環することで、
ろ過が行われ、疲労回復が早まる、とのこと。
慣れない人は壁と使い、更に、手押し車やタバタ式トレーニングを用いて、
少しづつ体への準備速度を高め、強制的に全身の神経を呼び起こしていく一色氏。

気付けば参加者全員の額に汗が光り、
万全の状態に仕上がっていた。

2分の休憩ののち、
いよいよ前日のテキスト訓練の後半に入る。



1夜の猶予あった面々、
それぞれがテキストにイメージをつけ、
流石現役の俳優の集まりとばかりに
各々の演技プランを披露し、それを真剣に見る参加者たち。



しかしそこに、
一色氏は更に様々な負荷・制約をぶつけ、
俳優たちの様々な音色や可能性を引き出していく。












俳優1人1人の特徴、個性、可能性を1つでも多く引き出すべく
様々なアプローチから、その先を切り開こうとする一色氏。
それに、参加者たちも全力の「表現」で必死に答えようとする。









見る側の熱も高まり、その場にいる全員が、目の前の俳優たちの新しい可能性に目をくぎ付けになる。




テキスト全チームが終了した後のディスカッション時には、
我先にと発言をする参加者たち。




そして今回のワークショップ、
テキストの興奮冷めやらぬままに迎える最後の内容が、
2組に分けての団体種目。
言葉を発さず、触れず、互いの空気、意図、呼吸を感じ合い、発信しあい行うマッピング作業。




初めこそ、「歩く」「止まる」の単純行動だが、これがやってみると実に神経を使う。
発信する側・受信する側、といった単純作業ではない。
その両方を常に持ち続け、アンテナをフルに立ち上げ、持続し、全体にまで神経を張り巡らせる。

そう、俳優の舞台上での仕事、そのものなのである。




しだいに慣れてきた俳優たちは、同時に止まり、同時に歩き出す、だけではなく、
更に1人の新しい動き(試み)を瞬時にくみ取り、全体に広げさせ、チームとして、
「表現」していく。
1人が1人を、その1人を次の1人が、そして全てが同調したとき、
実演者だけでなく、見ている側からも、言葉にならぬ興奮と歓喜が沸き起こり、
会場は大きな拍手で包まれていた。




常に誰かが先導者であり、
常に誰かが受信者であり、
全ての演者が常にそこになりえる環境下。
そして、事が起こった時に反応できる身体性と、
そこから奏でられる音色。
その全てが、
俳優の根源、魅力の根源であり、難しさなのだと、参加者の誰もが感じ取れたことだろう。



この2日間に渡る、
『福岡若手演劇協会主催 第1回 福岡×○○企画 「福岡×東京 俳優のためのワークショップ~講師:一色洋平~」
参加者それぞれが、最後の一言の際に、
「楽しかった」
「参加して良かった」
だけではなく、
『今後こうしたい!』
『次はこうしたい!』
『早くあれを試したい!』
と、【次】に向かう目をしていたことは、
主催である福岡若手演劇協会としても、非常に良い内容であったのだと感じる事ができた。

そして、その輝きと、熱意、野心は、
必ず大きな力になり、その力は連鎖し、
1俳優→福岡演劇界→日本の演劇会にまで、大きな派生となることを信じている。

今回参加した多くの福岡を拠点に顔を上げる俳優たち、
そして、2日間にわたり素晴らし時間と可能性を彼らに与えてくれた一色洋平氏に、
大きな感謝と、大きな期待を向けると共に、
皆様の更なる飛躍を、福岡若手演劇協会は心より願っております。

最後に、今後も今回同様、今回以上の価値ある時間、
未来に繋がる企画を起こしていく中で、それが1人でも多くの表現者の扉となることを、信じております。
ご参加ご協力頂きました皆々様、誠に、有難う御座いました。

福岡若手演劇協会
共同代表理事:小林ゆう・椎木樹人





2016年7月3日日曜日

福岡若手演劇協会主催 第1回 福岡×○○企画 「福岡×東京 俳優のためのワークショップ~講師:一色洋平~」レポート~1日目~

2016/07/02


福岡若手演劇協会主催の第1回企画の幕が開けました。
東京から現役の俳優を招いての、実践的ワークショップ。
「福岡×東京 俳優のためのワークショップ~講師:一色洋平~」

共同代表の小林・椎木の挨拶、サポートメンバーの長野・大串の挨拶の後、
講師の一色洋平氏の挨拶。

まずは初めに、
過去にスポーツインストラクターの経験を持つ一色氏による身体の構造や使い方、
効果的なストレッチ・本番前の準備などについての指導。

これまで勘違いしていたストレッチ方法や、知っているようで知らなかった体の構造を、
より実践的観点から参加者に落とし込んでいく一色。
初めは1人、そしてペア、しだいに人数を増やし、最後は全員で行う内容まで、
わずか数十分後には、気付けば参加者全員が1つのチームになり、
1つの成功に全員が賛辞を贈る。
「これは多くの役者との関わりをもつ舞台前などでは凄く大切なこと」
と教える一色氏。

少しの休憩を挟み、
照明を落とし、より身体と表現に寄った内容に入る。
経験だけでなく、これまでの科学的データも用いて一色氏の話に、
真剣に耳を傾ける参加者。
体の可能性、イメージの具現化、コンテンポラリーの要素も交えながら少しづつ【表現】の本質に迫る内容に、
参加者も
視野が変わった」
「理性が残りつつ理性が飛ぶ感覚がした」
新しい角度の身体的好奇心を発見した」
と、口々に自身が体験した「今」を語りだす。

体と心の準備が整った後は、いよいよテキストを用いた内容に入る。
一色氏の用意した全9種類のテキストを、各自選び、チームを分け、
体を使って、体を利用して、体を先行させた表現の術を学んでいく。
適格な支持、アドバイスを、一人一人の特徴や癖をつぶさに捉えながら、
「表現の楽しさ」「表現の可能性」を徹底的に教える一色氏と、
それを1つでも多く盗むべく食い入るように見る・聞く・動く参加者たち。
気付けば初日の5時間もあっという間に過ぎ、
全体の半分のチームは翌日に持ち越しとなったが、
まだ指導を受けていない参加者の表情も、
ワークショップ前と後では大きく変わっていた。

初日後に行われた交流会でも、
一色氏の話を少しでも聞こうと、予定の時間を大きく超え盛り上がる内容となった。

残り1日となった今企画、
今後の福岡演劇をになう若い表現者たちの目は、
初日にして眩しいほどに輝いていた。